アットロードサイドblog
2023/03/04

Cartoon Animator5でVlog用キャラを作って動かしてみた

Cartoon Animator5を購入したので、キャラを作成して山歩き解説のVlogを作ってみました。

Cartoon Animator5(以下CTA5)とは、REALLUSIONの2Dアニメ制作ソフト。
カートゥーン画風のイラストをアニメーションさせるソフトで、色数の多い日本アニメ絵をアニメーションさせる場合、稼働部パーツの絵柄の描き方や形を意識してキャラクターをデザインすれば、違和感なく使えると思います。
ちにみにこのバージョン5は発売当初、英語版のみでしたが、2023年1月下旬頃に日本語対応にアップデートされました(ソフトの環境設定>インターフェースから言語切り替え可)


こちらの主なアニーメーションは、2Dモーションテンプレートの「歩行」を適用させ、背景の動きに合わせてキャラの位置や大きさをマウスで動かすだけでタイムラインに自動的にキーフレームが登録され、滑らかに動きます。
顔の表情や動きは「顔パペット」機能、個々の腕や足のオリジナルの動き作成は「2Dモーションキーエディタ」でマウス操作で直感的に設定できます。
とにかく簡単にアニメーションが作れますね。
髪の毛やウエストベルト等にスプリングを埋め込んで(・∀・)ニヤニヤしてしまいます。
ソフトのほんの一部の機能しか使っていないのに、これだけ表現できれば大満足です!


【使いかた オンラインマニュアル】

» チュートリアル動画

» Cartoon Animator 5 オンラインマニュアル

日本語でマニュアルを読む場合はchrome(ブラウザ)の翻訳機能をONにするとメニューから本文まで全て翻訳されます。
また、オンラインマニュアルを閲覧する前に一度チュートリアル動画(日本語字幕表示可)を見ると理解しやすいですね。

==以下レビューです==


ソフトの操作方法は、さすがREALLUSION製で使いやすいと感じる一方で、書き出し(エンコード)の画質について気づく点がありました。

YouTubeにアップロードした動画は、せっかく描いたキャラの髪の毛が再エンコードによって無残な姿につぶれてしまうんですよね(;・∀・)

動画エンコードのしくみ上、近似色から色数を減らされてフラットな色に圧縮されるので、背景が動き続けている映像のなかに、グラデーションを多用した髪の毛にスプリングアニメーションを適用するような表現だと、髪の毛から画質が悪くなるのはしかたがないのですが・・
ベースカラーに影とハイライトの3色位でくっきりコントラストを利かせた一般的なアニメ絵なら問題は生じないと思います。

以下レビューは、グラデーションを多用した絵柄に対して生じる問題点と、エンコード品質の特性等の内容になります。

尚、CTA5はAdobeアフターエフェクトとデータ連携できるので、これらのソフトを利用する場合は問題は生じないのかもしれません。


★先に結論を述べると「解像度2K以上」&「高ビットレートでエンコード」した動画ファイルをYouTubeにアップすれば画質劣化が抑えられます。


【CTA5から無圧縮1フレームの画質】

上に貼り付けた動画の最後の場面をCTA5の編集画面から1フレームだけFHD(1,920×1,080)サイズで圧縮無しPNG画像を書き出してトリミングした参考画像がこちら↓
※クリックで100%の等倍が確認できます。

Cartoon Animatorの編集画面からPNG画像の書き出し

最高画質の基準がこの解像度です。このレベルでYouTube公開できると理想ですが・・
CTA5で背景動画付で書き出すと、1フレーム当たりのファイルサイズに上限が決まっている仕様なのか?強烈な圧縮により画質が破綻します。
なので、画質が劣ったままYouTubeにアップロードしたら更に劣化するから制作手順を変える必要があります。

【上に貼り付けたYouTube動画は、このような手順で作りました】

『CTA5でブルーバックでキャラのみMP4書き出し』⇒『PowerDirectorで編集後、高ビットレート(60Mbps)MP4書き出し』⇒『YouTubeアップロード』

画面サイズ(解像度):FHD(1,920×1,080)
フレームレート:1秒30枚


【CTA5からMP4に書き出した画質】

CTA5からブルーバックで書き出せば、綺麗に解像したMP4ファイルが作れます。

Cartoon Animatorからエンコード(MP4)された画質

背景透過のMOVファイルは、動画編集時に使いやすい形式ですが、そもそも画質が悪いからダメですね。
CTA5の画質書き出し設定がMP4では最大「8」に対して、MOVは「4」です。
ブルーバックで作成したMP4を、動画編集ソフトでクロマキー合成して使うのが現実的です。
背景色は、CTA5の「プロジェクト設定>背景」から任意の色を指定できます。


【CTA5から書き出したMP4をPowerDirectorで再度書き出し】

上の画像内「③」を動画編集ソフト(PowerDirector)に取り込み、背景やエフェクト等を追加して、再エンコード。

再エンコードした時の各設定と書き出された画質がこちら↓

Cartoon AnimatorからエンコードしたMP4ファイルをPowerDirectorで再エンコード

①30Mbpsで十分と思ったがこの画質。
②h.265の最高設定もダメですね。
③PowerDirectorで設定できる最大値60Mbpsを試してみるとある程度綺麗に。
④私のPCはnvidiaグラフィックボードが入っているので、その高速レンダリングにしてみると、一番綺麗でした(ファイルサイズも一番大きい)

「④」の画質でYouTubeにアップロードしたものが、上に貼り付けた動画になります。
アップロードした元ファイルが少し劣化しているので、YouTubeが再度エンコードすれば更に画質が落ちるのは無理がありません。
しかし、劣化し過ぎって!思いますね。


【YouTube動画の高画質対策】

いろいろ調べたら、YouTubeではアップロードされた動画は3つの品質で再エンコードしているようです。

1.最高画質の「av01」
2.高画質の「VP01」
3.一般画質の「avc1」

ほとんどの動画は、avc1になるようですね。
チャンネル登録者数や収益貢献度によって高画質が与えられるみたいです(;・∀・)

しかし、アップロードする動画ファイルの作り方によって「VP01」にできる技を知りました!
それは、2K(2,560×1,440)で書き出した動画ファイルをアップロードすればOK!
FHD(1,920×1,080)より少し大きいだけなので、PC負荷もたいしたことないですね。

Cartoon Animatorは4Kまで対応できるけど、フィールドで既に撮影した風景動画は皆FHDで撮ってしまっているため、2Kに拡大してエンコードしたら今度は風景が劣化するから撮影済み素材はお払い箱にするしかありません(;・∀・)


《CTA5 2K書き出しのMP4をYouTubeにアップした場合》

試しに、CTA5で2KのMP4を書き出して、そのままYouTubeにアップしたものがこちら↓
ちゃんと画質がVP01になっていますね(画面を右クリックで統計情報からエンコードの仕様が確認できます)
髪の毛が全然解像されてて草

※再生画質はHDで見てください!


《CTA5 2K書き出し→PowerDirector→YouTubeの場合》

2KのMP4ファイルを一旦PowerDirectorに取り込んでから2K/60Mbpsで書き出してYouTubeにアップした場合。
アップロードするMP4の画質はFHDと同様、少し画質が劣化している状態ですが、YouTubeにアップロードすると2Kのため「VP01」でエンコードされるおかげで、このように画質がアップしました↓
CTA5から書き出したMP4直アップより画質はだいぶ落ちますが、FHDよりは良好なので、このあたりが妥協点でしょうか。

※再生画質はHDで見てください!


↑山ガール姿と構造を変えているので、くねくね歩くと可愛い感じになっています(;・∀・)


【高画質のシーケンスPNG書き出し機能】

作成したアニメーションを高画質(無圧縮)で外部の動画編集ソフトに取り込む方法があります。
CTA5のレンダリング設定で「画像>形式:PNG/シーケンス」で書き出せば、1秒間30フレームの画像が全てパラパラ漫画のようにPNG画像で出力できます。

Cartoon Animator5高画質のシーケンスPNG書き出し

この画像を動画編集ソフトのタイムラプス動画作成機能で取り込めば、画質無劣化の高画質素材として扱えます。
キャラ単位で書き出すと背景透過PNG画像となり、PowerDirectorのタイムラプス機能で取り込むと黒背景になって扱い難かったです。
Adobeアフターエフェクトなら有効活用できるのかも知れません(未検証)

PowerDirectorで扱う場合は、背景有りの画面全体を書き出せば活用できます。
ただし、例えば2分の動画であれば、1秒30枚×120秒=3600枚の高画質PNG画像が生成される分けで、いっきにPCのメモリが消費するのと、動画編集ソフトの操作も負荷が重すぎて作業効率が落ちます。
数秒、数十秒の短時間動画なら問題ないでしょうけど・・。
作業に手間がかかり実用的ではありませんが、方法論として覚えておくと役立つかも知れません。


【今後】

CTA5で背景付で書き出す時、多少ファイルが大きくなっても高画質で出力してもらいたいものですね。
次回制作からは、今回と同手順(CTA5→PowerDirector)で、2Kサイズ化してやっていこうと思います。


【アニメーション作りは簡単でキャラ作りが大変!】

Cartoon Animator5 G3 360テンプレート 作成パーツイメージ

ソフトの購入を検討されている方にご参考まで・・。
仕様に沿ったキャラのパーツ作りの際、PSDファイルに対応したPhotoshop等のエディタが必要で(又はSVG対応のIllustrator等)、マスクやパス操作で腕や足の稼働部品を形づくります。
稼働時にどのように絵柄が馴染むか?考えて作るのはなかなか面白い作業ですが、結構骨が折れますね。
冒頭の動画に登場している猫は「顔、胴体、腕×2、足×2」の簡単な6パーツで、顔を「モーフベース」という仕様で作っているので、イラストがあれば数時間で完成します。
人物キャラ(ミカンちゃん)の方は「G3_360」という仕様で、人体パーツと口や目の表情もそれぞれ分解して作る必要があり、作業を少しずつ進めて一か月位かかりました。
それと、私はPhotoshop CS6の動作保証外の旧バージョンを使っていますが、CTA5と連携できました。

テンプレートがひとつ完成したら、着せ替え用の服の正面デザインは生成AIで一瞬で作れますね。
上の画像に載せているセーラー服以外のワンピースは、Stable Diffusionのimg2img機能で生成したものです。

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