アットロードサイドblog
2022/09/06

紙地図+コンパスで地図読み達人

道迷いで遭難するニュースが増えています。
登山道を歩いているつもりが、うっかり作業道や獣道に迷い込んでしまい引き返すルートも見失って現在地も分からず救助要請といった事案ですね。

スマホGPSの登山地図アプリを活用している人は、このような遭難事案はほぼ無いようですが。

巷のネットユーザーでは、スマホの地図アプリより「紙地図+コンパス」の"地図読み"スキルが最も重要と啓蒙している人を散見します。
地図アプリを否定している分けではなく、第一優先ツールに「紙地図+コンパス」。これを補完するツールとして「地図アプリ」なのだとか。

  1. 私も地図読み達人になりた〜い♥

  2. 基本は紙地図とコンパスさっ!

私自身、近年GPSの測位精度も上がり地図アプリが便利すぎて紙地図を山行中に広げることは全くなくなってしまいました。老舗の昭文社も山と高原地図を電子販売しているしね😁
山行中は地図アプリをインストールしたAUとDoCoMoのスマホ2台をリスク分散して携行しています。
一応、紙地図も持っていくけどコンパスは携行しません。スマホで代用できるし、高度計、山座同定もアプリで解決します・・

地図読みスキルを啓蒙している人は、もしかして我々一般ハイカーには知り得ない高度な活用テクニックを駆使しているのでしょうか?
気になってネットや書籍を調べましたが、基本的な活用法の解説ばかりで、知りたい『道迷いしたとき』にヒントとなる情報は今のところ見つかりませんでした。

以下、考察してみます。


●現在地を調べる

↓「紙地図+コンパス」で現在地を調べる方法は?

紙地図+コンパスで地図読み達人

2つ以上の物標からクロスベアリングさせます。
具体的には、物標(富士山、鶏冠山)にプレートコンパスを向けてリングを北に固定。地図上の富士山、鶏冠山からそれぞれの方角の線をひいて交わった箇所、古礼山 南東側の石尾根が現在地と分かりました。

地図読み クロスベアリングの概念

まぁ、遠景で鶏冠山が判別できる人は100人中何人いるのかwww。大菩薩嶺の方が分かりやすいかも?
いずれにしても物標を特定するだけでも時間を要します。富士山や建造物などの分かりやすいランドマークが視界にあれば苦労しません。
また、低山ではこのような都合のよいパノラマロケーションはなかなかお目にかかれないのと、現在地を示す交差線が鋭角になるために目分量ゆえのズレも生じて地形との照合作業が必要になります。

快晴でこんな分かりやすい場所から現在地を調べることはないと思いますが、クロスベアリングの概念を記しました・・


●道迷いのきっかけは、こんな感じだと思います

下山中、正規の登山道を歩いていると・・

正規の登山道正規の登山道_2

どこで分岐したか分からず、獣道を歩いてしまっていた↓実体験です。
本来尾根道が続かないといけないのに、右手斜面で緩やかな下り。
おかしいな?
すかさずGPS地図アプリで確認すると、正規の登山道から方角が45度間違った通路(獣道)を歩いていました。
早めに気付いたので事無きを得ましたが、そのまま下山してしまうと大変なことになっていました。

登山道を間違えて獣道スマホGPS登山アプリで早めにリカバリ

警察発表によると、ほとんどの道迷いの遭難は下山時の15時以降に発生します。

★GPS登山地図アプリを携行していなかった場合の遭難例はこんな感じでしょうか。

※ここでは、地図とコンパスを片手にオリエンテーリングように登山道を追っていくといったごく少数派の運用方法は無視します。
※指導標やマーク、赤テープを頼りに歩くことを想定。

<遭難例>

上の写真のように下山中、13時頃に獣道に入り込み、1時間位歩き続けて登山道とは思えない通路に疑いを感じルート間違えに気付く。
歩いてきた道も見失い、とりあえず尾根に登り返すも同じ高さの尾根が正面に見えるだけで現在地が特定できず。場所を変える必要あり。
右往左往しているうちに1時間経過して時刻は15時。
紙地図で周囲の地形から等高線で場所を特定しようも、一帯同じような起伏で判断つかず。
樹林帯の中で16時になれば、辺りは相当暗くなり、刻々と活動不能な時間が迫ってきます。
ビバークして翌朝から活動再開、又は遭難救助。

といった流れです。

地図を見慣れている人は、そうでない人に比べて早めにリカバリーできると思います。この辺はスキルの差で事態も変わってくるのではないでしょうか。
しかし都合のよいロケーションばかりではありません。


●よくある現実のロケーション

関東在住のハイカーなら、丹沢山塊のように天気予報が"晴れ"でもすぐにガスが発生することはよく知られています。
太平洋からの湿った風の影響を受けやすいですからね。

↓この写真は丹沢の樹林帯ですが、うっすら見え隠れする斜面。紙地図で地形を照合することもできません😣

丹沢の樹林帯

尾根に出ても視界が抜けません(ちょっと見えているけど)。しばらくこの場所に留まっていれば雲はひいていくでしょうけど。道迷いの場合、安全な時間帯に脱出できるかな?

丹沢の尾根

↓夏の奥多摩も尾根道は快晴で陽が射していても、標高の低い樹林帯ではこのように真っ白で視界数十Mといったロケーションは普通に発生します。ごく普通の状態です。
写真撮影で森の奥の方についつい入ってしまうと方向感が無くなることもありますね。
林業用の赤テープに誘導されることもあります。

夏の奥多摩

こんな環境で現在地が分からなくなったとき「紙地図+コンパス」だけでどのような解決テクニックがあるか?以前から気になっていました。
いつもハッ!と道間違いに気付いたときの環境は、たいてい見通しの悪い樹林帯や谷間が多いです。
たいていは間違えた分岐まで引き返して難を逃れますが、踏み跡が薄かったり雨や落ち葉で消えていたりすると、その引き返すルートさえ分からなくなる場合があります。
尾根までの登り返しに2時間くらいの場所で道迷いすると、当日中に安全な下山が可能なのか?といったサバイバルな局面に一転します😱
「迷ったら見通しの良い尾根まで登る」といった掟がありますが、実際に行動すると、突然壁のような斜面が現れて行く手を阻まれたり、↑写真のような針葉樹林の歩きやすい森ならまだしも、藪漕ぎが要求されるような環境では、その中に突入できる人は限られるでしょう。


このような局面で、さくっと紙地図で現在地を知る方法があるのなら達人レベルですよね。いや、『山の神🧚』レベルか!!

GPSの登山地図アプリがあれば一瞬で現在地が分かるので、これをメインで活用しない選択肢はあり得ないと感じています。
但し、雨風が強いロケーションだとGPSを測位し辛くお手上げ状態になることもあり、機器の特性を理解した上で活用する必要はありますね。

山道沿いのクモの巣

樹林帯の中で紙地図から現在地を知るには、運よく特徴のある地形や沢などを発見できたり、稜線や谷間を遠景できるようなら地形図だけで判断できる場合もあると思います。
ランドマークとなるものが視界になく、四方同じに見える深山では、理論上「紙地図+コンパス」で現在地を見つけられる可能性はあっても、ジグソーパズルの1ピース目と同じことで、それを主要な技術として捉えるのは現実的ではありません。
つまり運や体力次第の脱出ゲームみたいなものと認識しています。

以上が地図読み初級者の私が考える、今のところの見解です。

ベテランらしき方のFacebookに有効な情報が書かれていますね。
『視界が悪い状況ではほぼ使えません』
(||゚Д゚)ヒィィィ!やはりそうだったのか!


もし、地図読み達人が実践している地図読みテクニック情報が入手できたら、また追記したいと思います🖊

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